増える「贅沢していないのに借金をする」人。今や貧困は全世代の課題だ
【借金問題】を藤田孝典氏が徹底解説1/3
賃金が低い20~40代、借金で教育費や住宅費賄う現状
シズカ…しかも、非正規雇用者の割合が増えて、不安定な生活の人も増えているって聞くわ。
藤田…その通りです。特に非正規の割合は20~40代が圧倒的に高く、20年前と比較しても賃金が格段に安い。特に、女性の場合の非正規雇用の割合は相変わらず高いです。そうしたなかで、衣食住はもちろん、子どもができれば養育費も支払い続けなければいけない。さらに地方では車がないと働けないことも多いですから、そのガソリン代や維持費などがかかってくる。生きていくのに必要なお金が給料だけでは足りなくなっているのです。
トオル…でも、お金がないなら、せめて節約するなりした方がいいんじゃ……。
シズカ…ネットやテレビでも節約ネタって結構多いよね。収入が少ないなら、家計を見直すのも手かも。
藤田…う~ん、それはどうでしょう。僕が相談を受けている方の場合、賃金が低すぎて節約をしようがない家庭がほとんど。カツカツで生活しても月々3万~5万ほど足りないことが多いですね。また、学生の場合だと奨学金を借りて進学する人も増えています。これもひとつの借金と言えるでしょう。
シズカ…そういえば、奨学金も問題になっていましたよね。学生時代に奨学金を借りていたけど、卒業後に返済できなくて困っている人がいるとか。
トオル…何百万も借金を背負ったまま卒業して社会に出るのはイヤだけど、学生時代にひとり暮らしなんかしたら、親の仕送りだけじゃ足りないこともあるよね。
藤田…そうですね。1990年代半ばでは、学生の6割以上が月に10万円の仕送りをもらっていましたが、今、10万円以上は3割以下で、5万円未満の学生がどんどん増えている。そうした中で、学費や生活費を賄うために奨学金を借りる学生が一般的になってきているのです。
シズカ…若者の賃金自体が下がっているから、社会に出てもお金を返せない。仮に返済できても、今度は生活に困ることになっちゃう……なんだか暗い話になっちゃったわね。